源氏物語について

私は源氏物語については、いくつかの巻を読んだだけで全編を読んですらいないので、語るのもおこがましいのですが、個人的見解を書き残しておきたいと思います。

私の中では、源氏物語で本当に魅力的に描かれているのは、光源氏ではなく、彼に振り回される多くの女性たちです。そもそも、プレイボーイとされている光君は、私が言うのも何ですが、なかなかの恋愛音痴に見えるのです。

初恋が母親そっくりの義理の母という特殊な体験をした上、同僚の男たちに「魅力的な女とはこういうものだ」と変な価値観を埋め込まれた結果、「いい女がいるらしい」とうわさを聞けば口説きに行く人になってしまいました。

周りの男たちがとにかく口説いているのを真似たのでしょうが、その辺の男なら「下手な鉄砲数打ちゃ当たる」でも、地位も才能も見た目も三拍子そろった光君が口説けば百発百中です。途中で控えようと思わなかったのかな。

しかしプレイボーイだったはずの彼の子どもの数は異様に少ないのです。同じくらいのプレイボーイだった頭中将が十人以上の子どもを作っているのに、光君は初恋の継母との間に一人、葵の上との間の子が一人と、須磨に流されていたときに付き合った女の人との間に一人いるだけ。紫の上は子どもの時からずーーーーっと一緒に居るのに、とうとう子どもを産みませんでした。

子どものできやすさには個人差もあるのでしょう。でも一度かそこらの過ちだったはずの継母とは子どもを作れているのに、そんなにできにくいなんてこと、あるのでしょうか?

そもそも、本当に「女遊び」をしていたのでしょうか?

昔の小説なので、行為そのものは書かれていません。肝心なところは読者の想像に任されています。朧月夜なんかはやり手っぽかったし、女性からのリードがあればしていたときもあるのでしょうけど。なんとなく光君は、実際に会うまでの手紙のやりとりを楽しむことをメインにしていたように感じます。口説くだけ口説いて、実際会えれば添い寝をするだけ、という無神経なことをやっていそうな人だなと思うのです。口説かれた女からしたらたまったものではありません。

読んでいると、光君は中身の無いやつだなーと思ってしまうし、そんな彼をろくでもないとわかっていながら惹かれてしまって苦しむ女性たちは、本当に人間くさくて魅力的だなと感じます。

以上は、本当にちょこっとかじり読みをしただけの人間の妄言ですので、いろいろ多目に見ていただけるとありがたいです。全巻読めば、また違う読み方になるのかも知れませんが…ひとまず、今の見解でした。