夢で見た猫の話
タイトルに反して全くかわいくない内容です。
あるとき夢を見ました。
明るい陽向の中、道の真ん中に、たくさんの猫がいます。
あるものは背を向けて、あるものは仰向けにお腹をさらして、一〇匹以上の猫が点点と寝転がっています。
「見て、猫だ。かわいい。」
そう言って私は駆け寄ります。猫なんて飼ったことも無いのに、触ったことさえ数えるほどしか無いのに、無邪気に駆け寄ります。
そしてだいぶ近づいたところで、異変に気付きます。
猫は皆、全く動いていません。
茶色や白の毛に、細かい砂がたくさんついています。
そしてよく見ると、猫の体は少し溶けかけて、地面と一体となろうとしていました。
もう、みんな生きていないんだ。
そう気付くと、無邪気に近づこうとしたことが急に恐ろしくなりました。
そして自分が言った「かわいい」という言葉が、何をもってそう言ったのかわからなくなりました。
私は「猫」だと判断した瞬間にどんな猫かも見ないうちに「かわいい」と言い、
その猫が生きていないとわかったとたん、「恐ろしいもの」として猫を見ています。
私は本当に、ちゃんと対象を見て感じているのだろうか。
「猫」とか「死体」とか、そういうカテゴリーに対して決まった感情を載せているだけなのでは無いだろうか。
そんなことを感じて困惑している内に目が覚めました。
あまり目覚めはよくなかったです。