生きることと死ぬこと
死んだあとはどうなるのだろうと、子どもの頃、割と真剣に考えたことがありました。
誰でも一度は考えることだろうと思いますが、一般的にはどんな答えを見つけて心を落ち着けるものなのでしょう?
私の場合は、良いことをしたら天国へ行く、悪いことをしたら地獄へ行くという話は納得がいきませんでした。生きている間に良いことしかしていない人なんているわけが無いし、逆に悪いことしかしていない人もいないからです。いったい何を根拠に振り分けられるのか、そもそもそんな振り分けが実在するかどうかすら証明する術がありません。
死んだら消えるだけ、と言う人もいました。
生きている人の思い出の中に残る、と言う人もいました。
消えるだけという意見はあまりに冷たくて、恐ろしくなりました。
思い出に残るという意見は、自分が死んでしまっていたら確かめようもないし、あまり意味が無いような気がしました。
結局私にとって腑に落ちたのは、小学校で習った食物連鎖でした。
人間は植物や動物を食べて生き延びる。
ほかの生き物から食べられることは無くても、最後にその体は土に還る。
その土からまた植物が芽生え、動物がそれを食べる。
地球上で永遠に繰り返されるサイクル。
私が死んでも、私の体は消えてしまうんじゃなくて、土になって、また誰かの一部になれるんだなとわかったら、少しほっとしたのです。
だから、死んだときにちゃんと誰かの糧になれるように、まっとうな土になれるように、正しく生きようと思いました。
あれから大人になっても、私の死生観はあまり変わっていません。
天国も地獄も信じていません。悔いなく死ぬために生きています。
ただ、自分のためだけではなく、私と関わってくれた人が少しでも幸せになれるように生きようとも思えるようにもなりました。
子どもの頃は価値を感じなかった「思い出に残る」ことの意味が、少しわかるようになったのだと思います。
これから死ぬまでの間に、どれだけのことができるでしょうか。
あまり長生きではない気がしているので、「そろそろ折り返しだ」と思いながら生き方を探しています。
どうか、最後には悔いなく死ねますように。