懐かしの漫画

今週のお題「一気読みした漫画」

 

漫画はそれなりに読んできたほうだと思う。

その中でも一気読みしたものとなると、日渡早紀さんの『ぼくの地球を守って』が印象深い。

読んだのは多分高校生くらいで、すでに古本屋に全巻並んでいた。

 

最初はわりとほのぼのしたお話かと思っていたが、前世の話が具体的になっていくにつれて、それが現代にも影響を与えて、どろどろとしたものになっていく。

人間のいろんな部分、相手を思う美しい部分ももちろん描かれているけれど、強く思うがゆえに出てしまう醜い部分もたくさん描かれていて、当時は衝撃だった。

 

内容は…これから楽しみに読む人もいるかもしれないので一応隠しておきます。

 考えてしまうのは、木蓮と̪紫苑と玉蘭の関係。

物語冒頭から愛し合う恋人同士として登場していた木蓮と̪紫苑って、結局お互いの気持ちを知らずに死んじゃったんだなぁと。

木蓮が本当は、両親から引き離された寂しい生い立ちを持つけっこうお転婆な子で、とても愛に飢えていて、かといって自分を崇拝するように愛情を向けてくる男たちには惹かれず、唯一対等にものを言う紫苑にひどく傷つけられながらどうしようもなく惹かれてしまっていたこととか。

紫苑が戦争孤児というかなりハードな生い立ちで、やっと得た愛する人も亡くしてしまっていて、だから木蓮や玉蘭のように一見恵まれた人を傷つけずにはいられなかったこととか。でも木蓮と同じで、愛に飢えていたこととか。

そういう人格形成上の重大エピソードを、彼らまったく話さない。

話せるほどに心を開く前に紫苑がやらかしてしまったせいもあるけれど。

ちょっとは喋ればいいのに、しゃべらないで、どっちも「本当は玉蘭のことが好きなんだろう」とか思っている。

木蓮とは恋人になりたくて、紫苑とは親友になりたかった玉蘭、完全に当て馬。かわいそう。

でもこの人は、ずっとただ正しく生きてきた人だと思う。それが許された人。自分の正しさを疑わず、誰のことも傷つけないことができると信じている、ある意味傲慢な人。だから何気ない言葉で二人を傷つけていることに気づかないし、自分を否定されるとかっとなる。ある意味一番人間くさい。

彼らが記憶を持ったまま転生してしまったのは、「地球を救う」とか大それたことのためじゃなくて、互いにすれちがったまま死という形で終わってしまった気持ちを、通い合わせるためだったんじゃないかなぁ。